アンリアル・エンジン 4 が無料になって以来、新規にアンリアル・エンジン 4 を利用する人たちが急増しているようですが、Unity からアンリアル・エンジン 4 に乗り換える人もかなりいらっしゃるようです。
そのような中、Unity からアンリアル・エンジン 4 に移行した方の興味深い日記 (『Unreal Diary』) がありました。
同じように Unity からの鞍替えを考えている人たちのお役に立つかもしれないので、訳してみようと思い立ちました。
さっそく、著者の Christopher ‘Jack’ Nilssen さんに連絡を取ると、翻訳を快諾していただいたので、今回から本ブログで紹介して行きたいと思います。
Nilssen さんは、ゲーム開発会社 Dark Acre の創設者であり、かつて日本に 10 年間在住していたとのことです。これまで Nilssen さんが世に送り出してきたゲームはこのページをご覧ください。
アンリアル日記 ― 第 1 日目 (2015/3/2)
エピックのアンリアル・エンジン 4 が今日、無料になりました。
僕がアンリアル・エンジンに初めて出会ったのは 2009 年のことでした。バンクーバー映画学校ゲーム デザイン コースのレベル デザインの授業で学んだのです。僕たちはその基本を仕込まれました。FPS に焦点をしぼって、簡単なジオメトリを作ったりしました。アンリアル・エンジンが FPS を得意としていたからです。
ビジュアル スクリプティングについても少しかじりました。Kismet という名前のビジュアル スクリプティング システムです (訳注: アンリアル・エンジン 3 の時代です)。授業は、2 つのプロジェクトを作って終わりました。シンプルなデスマッチ マップと複雑なチームによるデスマッチ マップでした。
後に、ゲーム デザイン コースでは卒業プロジェクトを制作することになるのですが、アンリアル・エンジン 3 は、3 つのオプションのうちの 1 つでした (残る 2 つは Unity3D と Flash でした)。
ただし、僕は Unity3D を選択したのでした。理由はぼんやりとしています。推測するに、当時は Unity3D に過剰な期待が寄せられていて、アンリアル・エンジン 3 は FPS しか作れないツールとの印象をもたれていたのです。
それでも、その当時はかなり真実に近かったと思います。なぜなら、アンリアル・エンジン 3 を使って FPS 以外のゲームを作るためには、6 か月で学んだ知識以上のものが必要だったからです。僕には C# の入門レベルの知識が余裕であったので、Unity を上手く使えるはずだと自信満々でした。
そのようなことがあり、ちゃんとしたゲームを作り、みんな卒業して行きました。僕は、Dark Acre というゲーム開発会社を設立しました。そしてその後 5 年間、僕は自分のやりたいことを実現するために Unity をいろいろいじりまわして過ごすことになります。
ですが、結果は微妙でした。果たして正しい選択をしたのだろうかと、夜中に冷や汗をかいて目覚めることもありました。
開発の方向性を選択することは、とても難しいことです。世の中には、便利なツールがたくさんあって、どうやってそれらを組み合わせるかとか、果たしてプロジェクトのニーズに合うかとか、とかく気苦労が絶えないのです。なお、万能ツールというものは未だお目にかかったことがありません。
ゲームのデベロッパーは、ビジュアル、オーディオ、ゲームプレイのアセットを作り出すために、感動的な部品を組み合わせて一種のチェーンを作り出す必要があります。しかも、効率的で配布可能なやり方で、それら部品を互いに組み合わせなければなりません。
僕が Unity を使っていたのは、主に、「一回ビルドすれば、どこにでもデプロイできる」エンジンとしてもてはやされていたからです。大半の場合、正しいかったです。実際、これまでゲーム開発してきて、僕の関心の的はほぼいつも、ウェブ ブラウザへのデプロイにあったのですから。最も多くの人がいるところにゲームを配置するのが、最善だと思っていたのです。
しかし、自分の作ったもののクオリティや評判にがっかりする時が来たのです (前回の Ludum Dare のすぐ後だったと思います)。ウェブへのデプロイは、期待していたほど上手くはいきませんでした。それで、今度の大きなプロジェクトは、スタンドアロンの PC ゲームにすべきだと決意しました。
では、なぜ Unity に固執する必要があるのでしょうか?大部分はそれに投入したコストのためでした。Unity をマスターするために多大な時間とエネルギーを費やしてきたので、変更することは馬鹿げているように思えたのです。
それでも、アンリアルがせっかく無料化モデルに転換したのだから、試してみるしかない、という気持ちになりました。この段階ではゲームで失うものは何もないはずですから。
午後の大半を費やして、アンリアル・エンジン通になろうとしました。ランチャーはスッキリしていて魅力的であり、コミュニティと大量のヘルプ ファイルにリンクされています。これらの中には『Unity 引っ越しガイド』がありました。これが素晴らしかったです。
予想していたことですが、C++ への移行が最も大変な点でした。しかし、開かれた精神と真面目な職業倫理があれば、克服できないことはありません。
Substance をインテグレートに若干苦労しました。Allegorithmic 社のサイトを見ると、そのことを説明しているスレッドがありましたが、残念なことに最初の投稿が期限切れになっていました。
このプラグインのために、試行錯誤しながら UE4 を再ビルドする必要があり、その日の大半が費やされましたが、就寝時間までには動かすことができるようになりました。朝起きたらどんな感じか見てみましょう。
(以下続く)
コメント
Arigato, thank you very much for taking the time to do this. I hope it helps some people 🙂
Glad you allowed me to translate your diary into Japanese. It’s already been amusing some of my friends!